パンやさん物語(2)

昭和40年代になると、清里が観光地として賑やかになってきて、夏は朝早くから夜遅く迄仕事をし(忙しい時には店を閉めて、清里のパンを作っていた)冬は暇で冬眠するようでした。

まだ、世の中にフランスパン、クロワッサンなども珍しく、日清製粉さん月島食品さん(油脂メーカー)の技術指導を頂きながら新しいパン作りに挑戦していました。

そんな時に月島食品の鈴木喜太郎さんに教わったのが、りんご酵母の天然酵母パン(八ヶ岳ブレッド)でした。

 

先生は、その当時から「豊かな生活」から「豊かな人生」へ「豊かな暮らし」から「豊かなこころ」の価値観の時代に変わると言い、食生活の中で健康を考えたパン作りを提案出来るベーカリーになることが必要だ、つまり利益優先から、社会的な責任優先の経営理念に変われと指導してくださり、パン作りの師匠であり、人生の師匠であります。

 

先生に教わった八ヶ岳ブレッド、ゴマブレッドは今も当店の人気商品であり、私の大好きなパンです。


喜太郎さんとの思い出は、先生はおそばが大好きで先生が来るといつも小海食堂のおそばを出前してもらうのですが、ある時パンを作っている途中でおそばが届き「先生これだけやってお昼にしますか?」と言ったところ「天然酵母の生地は待ってくれるけど、おそばは延びてしまうので先にお昼にしよう」と言われ、それまでイーストで作っていたパンとの違いを感じました。そして、先生は天然酵母のパンは時間をかけて作るから時間が経っても美味しい。トーストをすると焼きたての味が甦ると自信を持って教えてくれました。



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